米太平洋軍司令官のサミュエル・ロックリア海軍大将(58)の発言は、徳川家康の格言を連想させた。家康曰(いわ)く-
「世に恐ろしいのは、勇者ではなく臆病者だ」
意味は幾つかあるが今回、小欄では次の如く解釈する。
《弱い軍は緊張・劣勢状態に陥ると指揮官の指揮・統率が乱れ兵は暴発。命令違反や過剰攻撃、潰走を抑えられなくなってしまう。捕虜や民間人に対する虐殺・暴行も横行する》
軍紀弛緩が生む衝突
格言を連想させたのは、中国人民解放軍海軍に関するロックリア提督の以下の公言(7月)だった。
「将来的に、国際経験の浅い現場指揮官の判断ミスで、偶発的衝突が起こり得る」
提督の脳裏に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の海上自衛隊護衛艦へ、中国海軍フリゲートから火器管制レーダー(FCR)が2度にわたり照射された1月の「事変」があったか否かは興味深い。一歩間違えれば、国際法上も反撃が許される戦闘状態に入る、極めて危険な「戦局」だった。