冷めては混ざりにくい
現在は一般的な喫茶店と同様、自分でミルクと砂糖を入れるスタイルも選べるが、最初からミルクと砂糖が入った形で提供するという珍しいスタイルが生まれたのはなぜか。
業務部の国本信夫業務課長(48)は「うちも当初はコーヒーはブラックの状態で、ミルクと砂糖を横に添えてお出ししていたんですが、当時はコーヒーも貴重品で、みなさん長時間かけて楽しまれたため、冷めてから砂糖やミルクを入れる方が多かった。それでは、うまく混ざらずおいしくないので、最初からベストの状態でお出しすることにしたんです」と説明する。
早速、創業以来の看板メニュー「アラビアの真珠(ホットコーヒー)」をいただいた。モカをベースに独自の欧州風深焙(あぶ)りブレンドを採用した逸品だが、香りやコク、酸味が絶妙に融合した深い味わいに心が安らぐ。
新勢力台頭も動じず
「おいしいものをおいしい状態でお出しすることと、食材は絶対ケチらず高品質のものを使うことを徹底している」(国本さん)だけあって、全6種類のコーヒーも、コストはかかるが1種類あたり5、6種類の豆を独自ブレンド。無論、看板の「京の朝食」など食事類の質にもこだわり抜いている。