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【用語解説】長時間労働の規制
日本では労働基準法で労働時間の上限を1日8時間、週40時間と規定し、企業が時間外労働(残業)をさせる場合は、あらかじめ労使協定(三六協定)を結ぶ必要がある。厚生労働省は残業の上限を月45時間、年360時間までと基準を定めているが、労使で合意すればボーナス商戦といった繁忙期はさらなる残業も可能。事実上、無制限な残業を容認する“青天井”の状態で、過労死の労災認定基準(月80時間)を大幅に超える残業につながりかねない。女性や高齢者の働きにくさも招いており、労働組合などは上限規制をするべきだと指摘している。
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■パートも同一賃金 週3日勤務
「仕事と生活のバランスが取れて満足だね。月曜の午前は趣味のテニスをしているよ」
オランダ第4の都市、ユトレヒトに住む編集者、レイニエル・ファン・ドゥ・ブリーさん(57)は、13年前の転職をきっかけに週3日勤務のパートタイムで働く。週末に加え月曜、金曜日も休みだ。家庭での時間を大切にするのが大きな理由だが、こういった働き方を可能にするのはフルタイムで働く人と時給を同じにするなど待遇を保障する制度があるからだ。
◆共働きで生計
ブリーさんは「同一労働同一賃金」の原則に基づきフルタイムで働く場合と同じ時給を得られ、“働き盛り”の40代から、ためらいなくパート勤務を続けることができた。週5日のフルタイムで働く場合に比べて給与総額は60%程度になるが、妻も出産を機に週3日のパート勤務。2人で1人分超を稼ぎ、18歳と15歳の子供を育てている。
日本ではパートで働く場合、正社員に比べ待遇が大きく見劣りするケースが多い。時給は6割未満であるほか、福利厚生面でも大きな差があり、企業が安価な労働力として活用する性質が強い。