働き方改革進む欧州の実態 残業少なく家庭と両立支援 (2/5ページ)

2016.10.17 05:00

仕事を終えて帰宅する人などで混み合うヘルシンキ中央駅=6月(共同)
仕事を終えて帰宅する人などで混み合うヘルシンキ中央駅=6月(共同)【拡大】

  • 育児休業を取得したアレクシ・リンタ・カウッピラさん。妻のエイラさんと長女のミイナちゃん=6月、ヘルシンキ(共同)
  • 週3日のパートタイムで働くレイニエル・ファン・ドゥ・ブリーさん=6月、オランダ・ユトレヒト
  • オランダ第4の都市のユトレヒト市街地=6月

 ◆「父親休業」8割

 そんな中、経済の低迷を理由に大きな見直しが進んでいる。「フィンランド労働組合中央組織」のイルッカ・カウコランタさんによると、政府は所定内労働時間を長くすることを提案し、労働者側も年24時間の延長を受け入れた。給与は増えず、実質的な賃下げだ。

 ただ、一日の労働時間でみると長くなるのは約6分。カウコランタさんは「フィンランドの労働環境には歴史的な転換だが、日本とは大きな差がある」と語った。

 日本でも注目される子育て支援制度は、女性の社会進出、男女平等を保障するため発展してきた。母親の育児休業のほか、「父親休業」、両親で分け合える「親休業」も。父親休業を3週間取る割合は約80%で、男性の育休取得率が2.65%の日本のはるか先を行く。

 ヘルシンキに住む会社員、アレクシ・リンタ・カウッピラさん(32)は、昨年12月に生まれた長女ミイナちゃんのために父親休業に加え、生後4カ月のときに親休業を取り始めた。妻のエイラさん(33)は既に職場復帰し、約4カ月間、日中は1人で世話をする生活だ。「職場には理解があり、仕事にもいい影響があるはずだよ」と語る夫に、エイラさんは「誇らしいわ」と笑顔を浮かべた。

 フィンランド社会に詳しい吉備国際大の高橋睦子教授(福祉政策論)によると、1950年代ごろからの工業化で女性も社会に出て働くようになり、70年代から子育て支援制度の整備や男性の育児・家事分担も進んだ。「仕事と家庭生活との両立には保育制度の充実に加え、残業を減らし休暇も確実に取れる働き方改革が不可欠だ」

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