東京都八王子市の住宅街で夢の中のような非日常な光景に出くわしました。信号待ちの車の横で悠然と草を食べる牛! 磯沼ミルクファームの牧場です。
2ヘクタールの青々とした牧草地で暮らすのは約90頭のジャージー牛や羊。24時間自由に動き、草を食べた牛から絞る牛乳は濃厚でありながら、さっぱりとしたコクがある逸品です。この「東京産牛乳」を原料とするプリンやヨーグルトは都内の有名デパートで販売されるほどの評価を得ています。
でも、やはり磯沼ミルクファームの醍醐(だいご)味は牧場体験です。週末には乳しぼりやかわいい子牛との散歩もでき、都内であることを忘れてしまいます。そして、牧場に漂う甘い香り。秘密は毎日1500キロも牛舎にまいているコーヒー粉やカカオ豆の殻でした。
におい対策だけでなく、牛舎の中を清潔に保ち牛の健康やお乳の質にもつながる、と牧場長の磯沼正徳さんは説明してくれました。近郊のコーヒー工場やチョコレート工場から廃棄品を取り寄せているそうです。
ここで生まれる堆肥は栄養価が高く、江戸東京野菜の栽培に使われ、東京ブランドを支えています。牛にも人にも幸せな牧場が東京にある。モ~っと自慢したくなりました。
<プロフィル>
さえき・ももこ 元NHKキャスター・リポーター(水戸・全国)。現在はナレーター・MC。
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