「迷っているのですか。どこへ行きたいの」と、青年。駅をふらふらしていると(私の場合はお仕事ですが)、ときどきこんな風に声をかけてもらうことがあり、たいへん困る。しかしここは“世界一美しい”駅。撮り鉄がたくさん来ているはずだ。
そう思いきや、色大理石づくりのホールは撮影スポットとして人気が高いが、ちょっと無骨な印象のこちらはそれほどでもないそうだ。確かに待合室にいたバックパックの撮り鉄は、こちらでは姿を見かけない。
シンプルなワッフルをひとつ買って休憩し、再びホールへ行ったりプラットフォームへ戻ったり。改札がない駅の構造は、鉄道ファンにはありがたい仕組みだ。
■取材協力:ベルギー・フランダース政府観光局
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら