国の玄関口となる国際空港と市内中心部を結ぶ交通システムには、その国の都市機能の成熟度が反映されていると思う。まぁ、空港を一歩出たとたんに煙草くさい白タクのおっちゃんに取り囲まれ、わぁわぁと客引きされるのも旅情を味わえていいものだが、料金をいちいち交渉したり、スマホで経路を確認することなく、安心して利用できる公共交通機関は移動中にもくつろげて使い勝手がいい。
世界には、空港に直結する鉄道がたくさんあり、これまでいくつかの国で乗車してみた。なかでもとりわけ便利なのが、今回ご紹介する香港の「エアポートエクスプレス」だ。香港MTRが運営するエアポートエクスプレスは、香港国際空港と九龍半島側の九龍駅、香港島側の香港駅とを最速24分で走る急行列車。空港から市内へ出るには、到着ホールにある巨大な案内板の指示に従って進み、エアポートエクスプレスに乗車して九龍駅または香港駅で下車する。このふたつの駅からは、主要なホテルを巡回する無料シャトルバスが運行している。安宿など停車対象外の宿泊施設に泊まる場合でも、エアポートエクスプレスの乗客なら近くのホテルで降ろしてもらえる。空港からホテルまでシームレスに移動できるわけだ。