制服を着用した、白髪混じりの車掌が姿を見せると、周りの乗客はごそごそときっぷを取り出しはじめた。私が乗車したのは二等車の5号車。二等車は通路を挟んで2席と3席が配置されている。真ん中よりやや後ろよりの3席並びの真ん中になんとか滑り込んだ。
何となく肌寒くてコートを着込んだまま、雪景色の車窓を眺めて検札を待つ。どこの国へ行っても、日本の新幹線のように手早くスムーズにはいかないものだ。が、それにしてもえらく時間がかかっているではないか。
様子を伺いたくて首を伸ばすと、車掌は車内販売のワゴンを押しながら、乗車券を確認している。というか、見ている限り全員が何かを買っている。あとで自分に番になって誤解だとわかるのだが、そのときは破格の運賃に驚いていたこともあって、「観光列車だし、運賃がこれだけ安いということは、何か購入する義務があるのではないか」と、本気で思ってしまった。だってそう思うくらい、全員が何かを買っていたのですよ。ちなみに私が買ったペットボトル入りの水は2元(約37円)。やっぱ安い。