はっきり言って、来る前はあまり“鉄道”のイメージがなかったが、イスラエル人はどうやら鉄道愛好家らしい。かつてヤッファの旧市街とエルサレムを結んでいた鉄道のヤッファ駅跡地が、建築物や線路の一部を保存しつつ“カルチャー発信地”として再開発された。ファッションや雑貨、インテリアといったセンスのいいセレクトショップやアートギャラリー、レストランやカフェが集結していて、その中には、当時使われていたままの貨車を2階から見下ろしながら、食事をしたり酒を飲んだりできるバーもあるという。
ヤッファーエルサレム線は、それまで主な交通手段のひとつだったラクダに代わり、エジプトとアナトリア半島をつなぐ初の大型輸送を目指して建設され、1892年から1948年まで、ヤッファーエルサレム間を走行した。
いまから100年以上前に造られた鉄骨の駅舎や、屋外に展示されている貨車は、当時の面影を現在に伝えている。そのエレガントな佇まいは、なんだかヨーロッパのような風情を醸し出していた。