しまった! 気がついたときには遅かった。アラブ系警備員が足早に近づいてくる。もしかして撮影禁止なのかも。記録カード没収という最悪の事態に備えて、念のため空っぽの新品を入れて来たが、今日ここまで撮影した写真を失うのは惜しい。
そこへイスラエル鉄道のユダヤ系社員がやって来た。「あぁ、日本人か。すごい鉄道がある国の国民は、鉄道が好きなものだ」。そうか? 疑問がわくがここは穏便に済ませたい。「イ、イスラエルの鉄道もなかなかいいですよ。ほら、座席は清潔だし、無料Wi-Fiだって飛んでるし」。すると彼は少し考えてこう言った。「ふぅむ、やっぱり日本の鉄道がマッチベターだ(ずっといい)」。
アラブ系の警備員は強面ながら人当たりがソフトで、カードを取り上げることもなく、けっきょく駅構内で撮影した1カットを削除すれば、車内の撮影は自由となった。ちなみにその1カットには駅舎の急所が写っていたらしい。そう言われて背筋が冷たくなる。