【江藤詩文の世界鉄道旅】香港MTR・エアポートエクスプレス(2)整列乗車に静寂した車内、快適すぎる35.3キロの鉄道旅 (2/2ページ)

2016.5.1 18:00

通路を挟んで2席ずつ配置された座席は全席自由席。スーツケース置き場もゆとりがある

通路を挟んで2席ずつ配置された座席は全席自由席。スーツケース置き場もゆとりがある【拡大】

  • 広々としたプラットフォーム。スクリーンには「下りる人が優先です」という呼びかけが
  • 中国語がわからなくても「往機場列車」ってなんとなく伝わりますよね
  • 自動改札もゆとりがあって通過しやすい
  • 車内アナウンスは控えめだが、この表示で列車の現在位置が把握できる

 プラットフォームで電車を待っていると、大きなスクリーンが目に留まった。次の列車がいつ到着するか、分刻みで表示されている。空いたスペースで、日本人には見慣れた風景が流れ、模式図による解説が始まった。「下車する人を優先し、並んで順番に乗車しよう」と啓蒙する動画だ。

 空いている時間だったため、残念ながら実際に整列乗車を見ることはできなかったが、とにかく乗り込めば誰かが手を貸してくれて、スーツケースはきちんと収納棚に収められる。ちなみに個人的な統計だが、私がこれまで鉄道に乗った国で誰かが荷物の上げ下ろしをサポートしてくれる確率は、日本を除けば100パーセント。車内は清潔で、まるでスイス国鉄のおしゃべり禁止車両「サイレントカー」のように静まり返っていた。車内アナウンスもごく控えめだ。ちょうど朝ご飯の時間なのに、“飲食禁止”のルールをみんなしっかり守っている。

 さすが世界を代表するハブ空港。設備もマナーも見習いたい気もするが。あまりにもスマートな時間の反動か、香港らしいエネルギッシュな喧噪がちょっぴり恋しくなった。

■取材協力:香港政府観光局

■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら

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