没後70年近く経っても人気が衰えない作家・太宰治。「人間失格」「斜陽」「ヴィヨンの妻」などの傑作は今の東京都三鷹市に転居してから生まれました。私が三鷹に住んで5年、日々の生活の中で太宰がちらつく場面が多いのに驚かされます。
信号待ちで何気なく横を見ると、太宰がひいきにした「若松屋」跡地の案内板。今は国分寺市に移ったこのうなぎ屋は、まだ陽が高いうちから太宰が飲んでいたという店で、「グッドバイ」にも登場します。
太宰が暮らしたのは駅前界隈でした。JR三鷹駅から西に4、5分歩けば、太宰お気に入りのスポット、三鷹電車庫の長い跨線橋(こせんきょう)があります。「陸橋」と呼ばれるこの場所に太宰は編集者を連れてきたそうです。当時の姿をとどめる陸橋は、私が子供と一緒によく行く場所でもあります。
街の至る所にある太宰ゆかりの地を示す案内板、図書館の常設コーナー。気が付くと私も彼の本を手にとっていました。読み進める程に追体験して彼を理解したいとの思いが強まり、三鷹を訪れるファンが多いのも納得です。
6月19日の命日「桜桃忌」には彼が眠る禅林寺で偲ぶ会が開かれ、三鷹の街はいっそう賑わいます。
<プロフィル>
わたなべ・ゆうき 元NHKキャスター(首都圏・福島局)。現在は子育てしながら、企業イベントの司会、ナレーター、ニュース情報番組リポーターとして活動中。
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