「手術のときの入院費用や抗がん剤治療などの費用は、それなりにかかっていると思いますが、高額療養費制度なども利用できましたし、それほど負担には感じませんでした。それよりも大変だったのが、毎月の生活費や住宅ローン返済、子どもたちの教育費負担ですよ。とりわけ、長男は希望していた私立高校に進学できたものの、学費以外に制服や学校指定の学用品、修学旅行の積立金、さまざまな行事への参加費用、塾代などがかかりました。これが案外重くのしかかってくるんです」
ちょうど、術後のケアなどで病院にお金がかかる頃で、まさに、お金に羽が生えたように飛んでいくように感じたそうだ。しかも、教育費はこれにとどまらなかったのだ。
「その高校は、在学中に海外への語学留学を積極的に行っていて、長男もそれが魅力で進学を希望していましたからねえ。その費用が100万円以上かかります。今さら参加させられないとはなかなか言えなくて。本当は、次男も長男と同じ私立高校に行かせるつもりだったんですが……最初は、蓄えもそれなりにあったので、あまり心配していませんでした。それが、収入はぐんと減ってしまうし、支出は増える一方だしで、いったん取り崩し始めると、(手持ちの金融資産は)どんどん減っていくのが、本当に怖かったですね」