2016.1.11 17:08
図1 イノベーティブ職の割合(2010年)【拡大】
そういったら、ある人から「それは地方都市の生活そのものだ」と反論された。“年収は住むところで決まる”からと東京に移住し、無理して都心に住んでも、得られるものはかつての地方都市での生活と同じ価値に終わってしまうかもしれない。
“年収は住むところで決まる”のは、ある意味では事実かも知れない。しかし、仕事ではなく、生活をする場であることを考えると、またその評価軸は変わる。つまり“生活の満足度は住むところで決まらない”ということだ。生活への満足度は同じ町に住めば誰でも一定なのではなく、住む人それぞれの考えや価値観が問われる。
こうした事実に、『年収は「住むところ」で決まる』はマクロな都市経済学の視点から切りこんでいる。拙著『23区格差』は、ミクロな視点から東京生活を概観した。両者の読み比べの中から、読者ならではの“住むところ”を選んでほしい。
池田利道 一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、(株)マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。
(池田利道)(PRESIDENT Online)