“年収は住むところで決まる”って本当か? 港区と足立区で3倍近い所得格差 (2/6ページ)

2016.1.11 17:08

図1 イノベーティブ職の割合(2010年)

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 港区に住めば年収は上がるのか

 カリフォルニア大学バークレー校の経済学者、エンリコ・モレッティの近『年収は「住むところ」で決まる』は、イノベーション産業の集積が産業全体の活性化を呼ぶメカニズムを解き明かし、イノベーション都市の高卒者は、従来型の製造業都市の大卒者よりも年収が高くなるとの結論を導き出して話題を呼んだ本である。

 このモレッティ氏の理論に、港区はピタリと一致する。情報通信業というイノベーション産業が渦巻く港区は、年収がきわめて高い。港区こそ、イノベーションの熱い集積が高所得をもたらす日本型成功モデルといっていい。先述したとおりだが、実際、港区民は足立区民に比べ、3倍近い所得を得ているというデータもある。

 では東京の場合、港区に移り住めば所得が上がるのか。その問いに対する答えは、はっきりいえば「否」である。

 なるほど港区には、イノベーションが生む厚い富の蓄積がある。データで確かめたわけではないが、情報産業でバリバリ働くイノベータたちはもとより、富の蓄積の恩恵を受けた飲食店や商店の店員らサービス業で働く人たちまで、その給与水準は他の地域より高いと聞いても不思議はない。

港区に住んでいる人の割合はわずか5.2%しかないという事実

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