それだけではない。民間企業は国の機関の審査を通れば、登録されている国民の個人情報を得られる。それにより新生児の生まれた家にはベビーカー、高齢者には車いすなど、必要と思われる人達に適切な広告が打てる。自分の情報が他者に漏れるのが嫌な人はあらかじめ当局に「公開拒否」を登録してこうした広告は来ない。社会保障制度が整ったこの国では所得など個人情報の提供は、自分が社会保障の給付など必要なサービスを受ける権利を行使するための義務と考えられているのだ。
10月から通知が始まったマイナンバー制度は、来年1月から番号の利用がスタート。2017年1月からは自分のパソコンで所得や納税の記録、年金や介護保険料の支払い状況などを個別のサイトにいちいちアクセスすることなく、一度でまとめて閲覧することができる「マイナポータル」の導入も予定されている。
マイナンバー制度の定着には、個人や法人がルールを守ることはもちろん、行政が制度をきちんと運用して国民の不信感を払拭ことが不可欠だ。