大手光学機器メーカーが今年1月から就業時間内の喫煙を全面的に禁止した。従業員の「健康障害の防止」と「健康増進」を目的に社内に限らず、休憩時間を除き外出先、出張先、移動中も禁煙するよう求めている。パートタイマーや敷地内に入った来客も対象となる。SNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)では非喫煙者から「よくやった」との声が上がったが、「やり過ぎではないか」との意見も少なからずあった。企業が喫煙を完全に排除する一方で、いち早く路上禁煙に乗り出した千代田区は分煙対策を推し進めている。
昨年12月に「分煙社会のススメ。」(光文社)を出版した編集工房レーヴ代表の山田稔氏も「社会は多様性があって成り立つもの。排除の論理だけでは人々は幸せになれない」と話す。
山田稔氏は、受動喫煙防止対策を話し合う東京都検討会の座長の取りまとめ案では建物内での全面禁煙を見送ったことを例に挙げる。「背景には『政府が個人のライフスタイルに介入することは原則として許されない』という考え方がある」とし、「企業内では通用しないのでしょうか」と疑問を呈する。
また「分煙社会のススメ。」で取り上げた名大大学院の松岡利昌特任准教授が行った企業のオフィスを舞台にした実証研究を紹介。リフレッシュルームでは総じて喫煙者がコミュニケーションの中心になっていたという。