ゲノム解析で加速
ヒトゲノムの全配列は2003(平成15)年に解読が宣言された。腸内細菌叢の研究はゲノム解析の恩恵を受け、細菌の遺伝子配列の解析速度が飛躍的に上がり、菌の種類や量が分かるようになった。腸内細菌叢と肥満の関係は米国が先行しているが、日本では免疫疾患などの関係について、理化学研究所統合生命医科学研究センターの本田賢也・消化管恒常性研究チームリーダーによる研究が知られている。
「腸内には約1千種、総重量で1キロの細菌が存在し、共生している。それらの共生関係が崩れると、肥満・メタボといった代謝性疾患やアレルギーなどの免疫疾患につながる」と本田氏は解説する。
共生関係を崩すものとしてはまず、脂肪が多くカロリーの高い欧米型の食事が挙げられる。本田氏によると、高脂肪食を1週間続けただけで細菌叢の構成が変化したという複数のデータがあり、肥満の原因となる細菌は「食事で摂取した糖類などの分解を促進し、体内により吸収しやすい形にする働きがある。そういう菌が高脂肪食を好み、それを餌に増えるのではないか」。