「壁に虫がたくさんいる」「後ろにあなたを殺そうとしている人がいる」など、一生懸命に周りの人に訴えても理解されない。かつて、その症状は「狐(きつね)憑(つ)き」などといわれ、患者は隔離されていた。現在も患者が孤立するケースや入院期間が極端に長期化している患者も多い。患者の家族も幻聴・幻視を繰り返す患者との接し方に悩む。
病気に対してだけではなく、周囲の理解が得られずに悩む当事者とその家族を多く見てきた福井さんは「幻聴や幻視について知識を持てば、患者に向き合ったとき、否定から入らず、受け止め、患者とのコミュニケーションができる。周りの人の理解が回復を助け、再発率も低めることができる」。母親が統合失調症という大阪市淀川区の女性(32)は「母はいつもこういう感じだったのかな、と理解できました」と話していた。
セミナーを主催する大阪市西区社会福祉協議会は、今後も同様のセミナーを行う予定という。