統合失調症への理解深める 「幻聴」「幻視」を疑似体験 (2/4ページ)

2014.3.23 07:08

セミナー冒頭に流された映像。藤井さんが統合失調症について話しているが、画面には無関係のテロップが流れ続ける=大阪市西区

セミナー冒頭に流された映像。藤井さんが統合失調症について話しているが、画面には無関係のテロップが流れ続ける=大阪市西区【拡大】

 ビデオ終了後、藤井さんと福井さんによるディスカッションが始まった。ところが、うめきながら「助けて」という女性の声が聞こえてくる。冷静に話を進める2人が「うるさいですね」と眉をひそめるが、この頃には参加者は「これが幻聴の体験」と理解し、落ち着いて受け止めていた。

 しかし、最後まで不快なことがあった。セミナーの間中、隣の部屋から男性同士の話し声が聞こえ、うるさい。何かを食べておいしかった、というような些細(ささい)な会話をしながら笑っている。他の人も気にしている様子だったため、スタッフに注意してもらおうとも思ったが、いつしか聞こえなくなった。

 セミナーの最後、センターの職員が「これも幻聴体験なんです」。部屋の後方に隠されたスピーカーから流された音だった。

 受け止め、向き合う

 統合失調症の人は日常生活の中で、こうした「騒音」にさらされている。藤井さんによると、時には「殺してやる」といった自分を攻撃する内容だという。「統合失調症の患者さんが時々、落ち着きなく見えるのは、絶えず続く幻聴や幻視のせいで集中力が保てないからです」

「壁に虫がたくさんいる」「後ろにあなたを殺そうとしている人がいる」

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