志村教授は「治療者に熟練した手技が必要。網膜疾患専門医がいて、硝子体手術ができる設備の整った病院で治療を受けることを勧めます」と話している。(村島有紀)
抗VEGF治療薬 自己負担は1回5万~6万円
抗VEGF治療薬は、新生血管の成長を活発化させる体内のVEGF(血管内皮細胞増殖因子)という物質の働きを抑える薬。網膜中心静脈閉塞症(CRVO)の治療薬として、昨年保険適用になったのは、加齢黄斑(おうはん)変性(加齢で眼球の黄斑部の網膜がゆがむ病気)にも用いられる「ルセンティス」(一般名・ラニビズマブ)と「アイリーア」(同・アフリベルセプト)。視力が安定するまで、ルセンティスは1カ月に1度、アイリーアの場合は2カ月に1度、それぞれ注射する。保険の3割負担の場合、1回の自己負担は5万~6万円。
志村教授によると、一度の注射で回復する人が約20%、数年にわたって複数回の注射が必要な人が約65%、薬の効果のない人が約15%程度いるという。効果のない場合の多くが動脈の働きが悪い虚血型の患者。
志村教授は「虚血型に移行すると網膜の血管の周囲の神経細胞が死んでしまい、回復が難しい。虚血型に移行する前に治療を開始することが大切」と話している。