志村教授は「ある日突然、見にくくなったり、ゆがんで見えたりした場合、CRVOの発症が疑われる。早期に治療を開始した方が悪化を防げる可能性が高く、治療方法も多い。できるだけ早く眼科で受診してほしい」と話す。
眼底検査で判明
眼科では視力や眼底検査で診断する。従来の治療法として、(1)むくみの起きている部分を焼き、それ以上進行させないレーザー治療(2)詰まった血管を開放させる硝子(しょうし)体手術(3)むくみを取るためのステロイド剤の眼球への注射治療-の3種がある。ただし、(1)、(2)は治療リスクが高く、(3)も白内障や眼圧上昇の副作用があり、軽度の視野障害の場合は治療法がほぼないのが現状だった。
しかし、昨年8月と11月、2種の新しい治療薬「抗VEGF治療薬」が保険適用された。いずれも麻酔薬を点眼後、眼球に直接注射する。薬剤そのものに関連した副作用は少ないが、眼球組織の損傷や眼内炎、脳梗塞などの事例が2千例に1例の割合で報告されている。