■皇太子時代の陛下の秘話
即位されて以降の陛下については被災地や各種施設へのご訪問などのご公務や折にふれての記者会見を通じて象徴天皇としてのなさり様は詳細に報じられているが、皇太子時代については断片的にしか伝えられてこなかった。
それだけに幼稚園時代から75年にわたる長いお付き合いをしてきた著者ならではの非常に興味深い内容となっている。
特にお二人が乗馬を通してさらに親交を深められてきただけに馬にまつわるエピソードが多いが、陛下が審査員が演技を採点して順位の決まる馬場馬術よりも、情実の入り込む余地のない障害飛越を好まれた話からは特別扱いされることを嫌い、常に公平でありたいというご性格が良く表れている。
乗馬の際の休憩時間に馬の面倒を見てくれる人たちまでお茶の席に同席させる心遣いは同じ目線で国民と向き合い、寄り添いたいと言う現在の陛下のなさり様がお若い頃から培われたものであることがわかる。
乗馬をなんとかご一家で、と言うお気持ちから美智子さまにもかなり厳しく指導されたことが、お子様方には未経験の母を無理やり馬に乗せようとしているように映ったのか、お子様方が御所の壁に「乗馬反対」のビラを貼ったと言うエピソードがほほえましい。