「寺も檀家に抜けられると経営に影響する。寺の維持に関して他の檀家さんの負担が大きくなることにもなる。それまでは、檀家を抜ける側も『長いことお世話になりました』と、若干の布施を置いていく感覚があったと思う。でも、寺と檀家の関係が薄れてしまったため、そんな阿吽(あうん)の呼吸がなくなった。だから『離檀料』なんていう、いかにも払わなければいけないような言葉が出てきたのではないか」
「檀家としっかりした関係を築いてこなかったのだから、離檀料なんていったらトラブルになるのは目に見えている」。この寺では離檀料はもらっていないという。「やせ我慢という気持ちもある。でも、ありがたいことに、寺を離れるときに(閉眼)法要の布施を置いていってくれる人もいる」と話す。
国内の主要な伝統仏教教団で組織する全日本仏教会の広報部では「代々受け継いできた墓を守りにくい時代となっており、改葬が注目されている。檀家と寺との関係ができていれば『離檀料』という言葉を使わなくても、『お世話になった』という気持ちを互いに表せるのだと思う。檀家と寺に温度差があるために、問題が起きているのではないか」と話している。