「春節の食は家族の健康と長寿を願う点は日本のお節と同じで、体に良いものを食べるという意識も高い。でも、お金に関連した縁起物が多く、現世利益的な印象が強いですね」
春節は立春(今年は2月4日)とほぼ同じ時期に重なるため、医薬同源、五味(酸苦甘辛鹹(げん)、鹹=塩辛い)など薬膳的な考えを重視する家庭では「五辛盤(ごしんばん)」と呼ばれる5種類の辛い野菜を生のまま並べ、小麦粉を焼いた皮(春餅(チュンビン))で包んで食べる習慣がある。いわゆる「春巻き」だ。五辛となる野菜は、ショウガ、カラシナ、ニラ、白ネギ、香菜(こうさい)(コリアンダー)。ニンニクやノビルなどでもいい。
「薬膳では、冬の間は根菜などエネルギー(気)を内に蓄える食材を取り、春には全身にエネルギーを巡らせるための食材を取るといいと考えられています。眠っている気を呼び起こすのが『辛』の味。ネギやショウガなど辛みがあって新陳代謝を良くする食材です」と阪口さん。