「保健室」代わり
「警察沙汰(ざた)になったら大事(おおごと)になるんじゃないか」
「性犯罪というほどではないかもしれないから…」
性被害に遭った女性はこう思いがちだという。こうした“遠慮”は数字の上でも現れている。
大阪大の調査では、痴漢などの性犯罪に遭ったという学生の申告は、24年度12件。学生数や、性犯罪の発生状況から考えると少なすぎると言っても過言ではないだろう。
ただ、学校関係者は「警察には言いにくいからと、迷ったあげくに学校に申告する人が少なからずいるということ」と話す。ネットワークはそうした被害者の声をすくい上げる役割も期待されている。
参加した66大学は、学内に性被害に対応可能な相談窓口を設置することを決めた。「保健室」のような感覚で学生に利用してほしいという発想だ。窓口では相談者の話を聴いてアドバイスをするほか、本人の了承を得て警察に通報することも考えているという。
窓口設置に向けては、府警の女性警察官が大学担当者らに対し、被害に遭ったときの対応や支援の仕組みを説明する講習会を事前に開催するなど支援している。