世界的サイバー攻撃が「低レベル」なのは本当か 事件から見えるサイバーセキュリティの現状 (5/7ページ)

 このサイバー兵器を“盗み出し”て、暴露したのは「シャドウブローカーズ」と呼ばれる謎の組織である。ロシアとの関係が指摘されているこの組織は、米NSAとつながりのあるイクエージョングループという集団を経由して、NSAが使っているサイバー攻撃武器を盗み出したとされる。

 そして2016年の夏に、イラン核燃料施設を破壊した世界初のサイバー兵器「スタックスネット」よりも強力な武器をオークションするとぶち上げ、ビットコインで最も金を支払う人に武器を売るとオークションを始めた。またそこにはサンプルの武器ファイルも付けられていた。その後、手を上げる人がいなかったことで、シャドウブレーカーズは何度か情報を暴露しながらメッセージをアップし続けた。

 2017年4月には、ついにNSAのサイバー兵器をネット上で暴露するに至る。今回の世界的サイバー攻撃に使われたWindowsのぜい弱性は、この時に暴露されたサイバー攻撃兵器のひとつに使われていたものだった。その武器とは、「EternalBlue(エターナルブルー)」と呼ばれるもので、ファイルの共有やプリンター接続などを悪用する攻撃で使われるものだ。ただこのぜい弱性は2017年3月にマイクロソフトがパッチを出していた(ぜい弱性の暴露前に情報を得ていた可能性が指摘されている)。

高い金額で、地下売買が行われている