もう1つのポイントは、このランサムウェアが狙ったWindowsのぜい弱性は、米NSA(国家安全保障局)が密かに作っていたサイバー攻撃ツールで使われていたものだったこと。この攻撃ツールは2017年4月に暴露されており、それが利用された攻撃だった。
史上最悪規模と言われるこの攻撃は、サイバー攻撃の歴史を見ても、重要なケースになる可能性がある。サイバーセキュリティの現状を知るために、今回の事件をじっくりと見ておく必要がある。
どのように感染が広がったのか
まずは、どう感染が広がったのか。
攻撃者は最初に、電子メールやハッキングによって、PCなどに「WannaCry」と呼ばれるランサムウェアを感染させた。このマルウェア(不正プログラム)は一度感染すると、他のPCにも感染を広げ、データなどをロックし、暗号化してしまう。そうなると、ファイルなども開けられなくなり、PCは通常通りに使えなくなってしまう。すると使用環境に応じた言語のメッセージが表示され、PCを元どおりにしたければ、3日以内にビットコインで300ドル、7日以内なら600ドルを支払うよう要求される。