今回の攻撃は「レベルが低い」といった声も
大事なデータを勝手に暗号化されて、解除したければ金を払えとは、とんでもない犯罪である。だがこのランサムウェアによる攻撃は、以前からすでに世界で猛威を振るってきた。2016年1~3月だけを見ても、2億ドル以上の損失を出す規模になっている。2015年には2400万ドル程度だったことを考えると、急激に増加していることが分かる。2016年はその状況を指して、「ランサムウェアの年」とも言われた。そしてその勢いは止まらないと言われており、将来的にランサムウェアは年間10億ドル規模の犯罪になるとの声もある。引き続き警戒が必要だ。
ちなみに今回の攻撃は、「大してレベルが高くない」という指摘もある。身代金の額は低いし、同じ攻撃をもっと重要なインフラ施設(電力など)にすることもできるからだ。
また、今回の攻撃は別の側面からも注目されている。というのも、この攻撃で使われたWindowsのぜい弱性は、もともと米NSA(国家安全保障局)が作っていたサイバー兵器で使われていたものだったことだ。米軍が作ったサイバー攻撃武器が金銭目的の犯罪者に悪用されたケースなのだ。