「31階の住人は下に降りる際、エレベーターが止められるたびに『遅くなるじゃない』とイライラしていたそう。それが、わけあって33階に引っ越すことになると、今度は上から降りてくるエレベーターに途中で乗り込む立場になり、今は『肩身が狭い』と漏らしている」
低層階の住人が高層階の住人から「さげすまれているように感じる」という声も実際に耳にするという。子育て世帯の間では、高層階の主婦が偉そうに振る舞うといった場面も一部であるようだ。
こうしたヒエラルキーは、東京の豊洲や有明といった「湾岸エリア」のタワマン住人が抱きやすいと榊氏はいう。
「湾岸エリアのタワマン住人は地方出身者が多い。ITベンチャーなどで成功を収め、ステータスを求めてタワマンに住む傾向がある。売り手側もその点をよく心得ていて、ターゲット層は『見えっ張り』と分析した上で、彼らのプライドや購入マインドを刺激する販売戦略を仕掛けている」