「人工知能」が普及すると腑抜けになる人間が出てくるか? (4/4ページ)

2016.7.23 17:10

将棋を指すデンソーの人工知能ロボット。(写真=Rodrigo Reyes Marin/AFLO)
将棋を指すデンソーの人工知能ロボット。(写真=Rodrigo Reyes Marin/AFLO)【拡大】

 ところで、最近になってわかったことがあります。それは、古典的な人工知能でも教育の仕方によっては、手書き文字を判別し、文字を書けるようになるばかりか、新しい文字を創造することすらできるようになるということ。つまり、まるでディープラーニングのような能力を発揮できるのです。

 人工知能を備えた家電などが普及すると、やることがなくなり、腑抜けになる人間が出てくるのではないか、と危惧する人もいるかもしれません。しかし、人間を含む多くの動物は、基本的に動くことを好みます。

 たとえば、マウスを使った実験。皿に入れた餌と、レバーを押したら出てくる餌、両方を与えると、レバーの餌を選ぶマウスのほうが多かったのです。便利な家電を使うことで時間ができたら、人間はその時間でほかの何かをやろうとするのです。私は、そんな未来を楽観的にとらえていいと思いますよ。

 池谷裕二 東京大学薬学部教授。薬学博士。脳がどのように脳自身を変化させるかについて探求を続ける、脳研究者。『海馬-脳は疲れない』『脳には妙なクセがある』など著書多数。最新刊に『自分では気づかない、ココロの盲点 完全版』。

 (小澤啓司=構成 小倉和徳(池谷氏)=撮影 Rodrigo Reyes Marin/AFLO(電王戦)=写真)(PRESIDENT Online)

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