また、人工知能による自動運転車は「ミスをしてはいけない」という強烈な制約があるから超安全運転にならざるをえません。その制約のせいで、たとえば、人工知能が運転する車に人間が運転する車がぶつかるといった事態は十分に考えられるわけです。
ただ、スラン氏が言うように、要求に応じた無人運転車を利用できるようになれば、たしかに道路や駐車場といった資源を有効に活用できるようになります。人工知能が上手に道を選んで運転するようになるといらない道路が浮き彫りになり、狭い東京の地面も、もっと有効利用できるようになるでしょう。
問題となるのは、人間が人工知能のミスに対しどれだけ寛容になれるかということです。人間社会でも、ある分野において一流と呼ばれるようになるには、その分野におけるありとあらゆる失敗が欠かせません。失敗は改善点を見いだす効果的な学習機会だからです。
しかし、もし人工知能が死亡事故を起こしたら? 仮に人間が運転するより事故の確率が10分の1になっていたとしても、「人工知能なんてけしからん!」などと、世間の風当たりが強くなるかもしれません。