2016.6.9 05:00
新元素ニホニウムの合成に使われた加速器=2015年8月、埼玉県和光市の理化学研究所【拡大】
日本が初めて命名権を獲得した原子番号113番の新元素について、理化学研究所は8日、「ニホニウム(nihonium)」と命名する案を発表した。元素記号は「Nh」。異論がなければ年末にも正式に決まる見込み。物質を形作る基本的な要素である元素の命名は日本初で、アジアでも初の快挙となる。日本の名前が教科書の周期表に記載され、成果が歴史に刻まれる。
森田浩介・九州大教授(59)が率いた理研の実験チームは2004~12年、加速器の実験で新元素を3個合成した。ロシアと米国のチームと発見の優先権を争っていたが昨年12月、国際学会「国際純正・応用化学連合(IUPAC)」が理研の発見と認定。森田教授がメンバーと協議し3月、日本にちなむ名前を提案していた。
新元素の合成は、国の科学技術の総合力が試される「究極のものづくり」とされ、長年、米国やロシア、ドイツが競っていた。
IUPACは8日夜、命名案について、今後約5カ月間、一般から意見を募集した上で元素名を正式決定すると発表。理研などによると、IUPACの専門家は既に命名の基準に沿っているかなどの審査を終えており、過去に意見募集後に名前案が変わった例はないことから、このまま正式に決まる可能性が高い。
元素名は伝統に従い、国名や地名、科学者、神話にちなんだ名前が付けられる。