文部科学省は20日、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の新たな運営主体について、十分な組織統治能力が必要などとする報告書案を有識者検討会に提示した。原子力規制委員会が求めた具体的な運営主体は示さず結論を先送りする内容で、次回会合で正式に了承される見通し。
文科省はこの日の会合で報告書の取りまとめを見込んでいたが、文章表現の修正を求める意見が相次ぎ、持ち越しとなった。
報告書案は日本原子力研究開発機構に代わる運営主体について、使用するナトリウム冷却材の安全対策能力や、保守管理の信頼性向上のための情報収集力などが必要とし、組織の要件を示すにとどまった。
報告書がまとまれば文科省は経済産業省などと調整して新運営主体を決める。夏ごろまでの決定を目指すが、電力業界は運営への関与に難色を示すなど受け皿選びは難航しており、先行きは不透明だ。
規制委は昨年11月、安全管理の不備が相次いだ原子力機構にもんじゅを運転する資質はないとして、新運営主体を半年以内に示すよう馳浩文科相に勧告。存廃を含む抜本的な見直しを求めたが、検討会は存続を前提に議論を進めた。