しかし、タガメもゲンゴロウも近親間の交配が難しく、少ない個体数では長くて5年で繁殖できなくなってしまうという。
繁殖・飼育の難しさ
「なんとか自前でタガメやゲンゴロウの数を増やしたい」
桑原さんはそんな思いで研究を続け、天然のゲンゴロウが多い北海道の個体を使って、継続的な繁殖も試みた。しかし気候の違いからか繁殖に失敗。九州など暖かい地域に多いタガメでも、同様の結果に終わった。
またタガメもゲンゴロウも頻繁に幼虫同士が共食いするため、1匹ずつ管理しなければならず、魚類などに比べ飼育の苦労も多かった。
繁殖・飼育の苦労は他の施設でも同様で、三重県鳥羽市の鳥羽水族館では、ゲンゴロウの常設展示を3年前に止めた。上岡岳学芸員は「タガメが繁殖している池の環境を良好に保つ努力をしており、何とか展示を続けてきたが、十分な個体が生息しているわけではなく断念した」と話す。