展示施設がなくなる?
琵琶湖博物館には、改修前の8月、タガメを目当てに訪れた親子の姿が多くみられた。
「図鑑でタガメを知り、本物が見たくなった」という息子の蒼馬君(6)を連れて来た大津市の伊藤利佳さん(40)は「野性のタガメはほとんど見られなくなっているので、琵琶湖博物館はとても貴重な存在だったのに」と話す。蒼馬君(6)は「昆虫なのにカエルを食べるところがかっこいい。いなくなるのは悲しい」と残念がっていた。
桑原さんは「タガメやゲンゴロウの飼育・展示がなくなるのは残念だが、博物館での展示を続けるために、減少している野生の個体を捕獲するのは本末転倒だ」と説明。リニューアル後の施設では、標本の展示を検討している。
水生昆虫に詳しい大串竜一・金沢大名誉教授(生態学)は「地域によってばらつきはあるものの、ここ20年ほどで野生のタガメやゲンゴロウなどを観察できる場所はかなり限られてきた。今後、展示できない施設が増えていくのではないか」と懸念している。