私にとって非常に興味深いのは、ユーグレナが外部からの投資を求めたところとIPOを決断したところだ。日本企業は欧米の企業に比べて非常に早い段階で、少額のためにIPOに踏み切る。
実際、国内で上場する企業のほとんどは、評価額が20億円以下にとどまる。しかし、日本で上場が意味するのは、出雲氏が指摘したように信頼と尊敬なのだ。ユーグレナが未上場では達成できなかった取引関係がいくつもあったはずだ。成長著しく、資金調達の道は他にいくらでもあったとしても、成長を続けるためには信用される必要があった。特に航空、石油、食品小売りなどの比較的保守的な企業との取引を進めるためには、上場が最も合理的な選択だったといえよう。
文:ティム・ロメロ
訳:堀まどか
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【プロフィル】
ティム・ロメロ 米国出身。東京に拠点を置き、起業家として活躍。20年以上前に来日し、以来複数の会社を立ち上げ、売却。“Disrupting Japan”(日本をディスラプトする)と題するポッドキャストを主催するほか、起業家のメンター及び投資家としても日本のスタートアップコミュニティーに深く関与する。公式ホームページ=http://www.t3.org、ポッドキャスト=http://www.disruptingjapan.com/