1部上場で信用得る
--1部上場企業になることで、大きな顧客を獲得するために必要だった信用性が得られたということですね。伊藤忠が出資者になったことで中小企業が積極的にミドリムシの導入を検討し始めたのと同じようですね。
「そのように捉えることができるかもしれませんね。製品自体が優れていることももちろんとても重要なんです。しかし、日本企業はそれだけでは決断しません。他にだれがそれを使っているのか、会社の取引先はどこでどんな関係を築いているかを知りたいと考えるのが一般的です。米国の企業はもっと製品自体の評価によって取引を決定するのではないかと思います」
--現在まで主な製品領域は食品と化粧品です。ミドリムシに他の用途はありますか
「いろいろな用途があると思います。可能性は無限ですが、ほとんどは費用がどれぐらいかかるかという点に尽きます。食品、化粧品の他には、まったく別の種類のミドリムシを使ってバイオ燃料の開発に取り組んでいます。ミドリムシは驚くほど柔軟な微生物です。1970年代にはNASAも長期の宇宙滞在のためにミドリムシを研究していました。食料としても燃料としても使え、二酸化炭素を酸素に変えられるとなれば万能です。NASAの研究は素晴らしかったのですが、結局大量培養の方法が見いだせなかったため研究は頓挫しました」
「ユーグレナでは、10年からJXTGエネルギーとバイオジェット燃料の共同研究をしてきました。15年にはそれを実証段階に進めるため、横浜市やいすゞ自動車、ANAなどの協力のもと、国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化計画を始動しました。20年の実用化を目指しています」