企業努力によるコスト削減だけでは、ついに価格を守れなくなった。今回の値上げによって280円均一という、鳥貴族がこだわってきた価格設定は崩れる。
コスト上昇に対して、値段を上げずに、例えば量を減らすなど品質を落として対応するやり方もある。しかし、鳥貴族は「高品質なサービスを提供する」(大倉社長)という理念を優先し、値上げに踏み切る。
4年で店舗倍増計画
既に他社では串カツ田中が7月、ビールを9円値上げし399円に、角ハイボールを20円値上げし390円とした。関東で中華料理店「日高屋」を展開するハイデイ日高も9月に生ビールを20円値上げし330円にしている。大手チェーンの相次ぐ値上げをきっかけに、価格改定の動きがさらに広がる可能性が高い。
その一方、鳥貴族は9月20日発表した中期経営計画で、今後4年間で店舗数を567(今年7月末)から1000へほぼ倍増させる目標を掲げた。効率化を徹底し、値上げによる逆境をはね返す成長戦略を描く。(大柳聡庸)
【用語解説】鳥貴族
焼き鳥を中心とした居酒屋チェーンで、2017年7月期(単独)の売上高は293億円、最終利益は9億6000万円。本社は大阪市浪速区。14年に東証ジャスダックに上場し、15年に東証2部、16年に東証1部に昇格し急成長を遂げている。8月末の店舗数は570。創業者の大倉忠司社長が人気グループ、関ジャニ∞の大倉忠義さんの父親としても知られている。