大倉社長は「280円均一の感動をコンセプトに、単一業態で展開している」とホームページ上にメッセージを寄せている。それだけ280円均一にこだわってきたのだ。
今回の値上げの主な理由について、鳥貴族の広報担当者は「人件費を中心としたコスト上昇が続いているほか、天候不順による野菜を中心とした仕入れ価格高騰の影響がある」と説明する。
企業努力はしてきた。タッチパネル式の注文システムを順次導入するなど、人手をかけないで済むよう業務を改善。しかし、コスト削減以上に人件費の上昇が進んだ。求人情報のリクルートジョブズ(東京都中央区)によれば、3大都市圏(首都圏・東海・関西)の8月のアルバイト平均時給は前年同月比で2.7%高い1014円と、06年1月の調査開始以来、最も高かった。
さらに、8月の長雨の影響もあり、国産野菜などの価格が上昇。農林水産省の食品価格動向調査(9月18~20日、全国平均)によれば、平年(16年度までの5年間の平均価格)に比べて、トマトは31%、キャベツは10%も高い。鳥貴族は「今後も仕入れ価格の高騰リスクが残る」(広報担当者)としている。
外食業界では、すかいらーくも一部メニューの10月中旬からの値上げを検討するなど、価格改定の動きがじわりと広がっている。その主な理由は、やはり人件費や食材費の高騰だ。