品ぞろえは最高だったのに… 富裕層に見放された大塚家具、新戦略は「すべて裏目に」 (5/6ページ)

 富裕層の顧客は「わがまま」

 いま振り返ってみると、私が大塚家具でテーブルを購入しなかったのは、大塚家具のボーンヘッド(野球用語の凡ミスのこと)だと思う。私は2店を下見して、いよいよ買う気満々だったのに、大塚家具は私を放置してしまった。その結果、お客を逃がしたことになる。

 私は家内と一緒にふらりと店を訪ねたのだが、ほかの3店は販売員が積極的にそばにつき、詳しく商品を説明してくれた。私が高価な商品をいくつも比較して見ていることが明らかなのに、誰も声をかけてこなかったのは大塚家具だけである。

 そしてこれは「富裕層の購買ニーズ」に全く合致していない。富裕層の顧客はわがままなのだ。

 「自由に見たいので放っておいてくれ」と宣言していても、いろいろ見ていると「このテーブルの材質は何だろう?」と気になってくる。そうした雰囲気を察知して、スーッと客に近づいてきて、「これはトチです。この大きさのトチはなかなか手に入りません。貴重なテーブルです」と説明してほしいのだ。

 来店数ではなく成約率に問題がある

 細かいデータが開示されているわけではないので詳細はわからないが、大塚家具の店舗での売り上げ減少の理由の多くは来店数ではなく成約率に問題があるはずだ。富裕層にしても新婚層の背伸び買いにしても、マンツーマンでついている店員が背中を押してくれることによるアップセル(ちょっと予算よりも高いものを買って帰る)の効果が大きいはずだ。

大塚家具の経営陣は逆を向いている

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