この経営方針の変更に不満をもった勝久氏は、2014年7月に久美子社長を解任。自身が社長に復帰した。ここから「お家騒動」が報じられるようになる。勝久氏は久美子氏が主導してきたカジュアル路線の新業態店舗をすべて閉鎖。久美子氏に近い幹部社員についても「粛清人事」を断行した。それでも業績は2度の下方修正を経て営業赤字に転落。このため経営方針をめぐって取締役会は勝久氏側と久美子氏側の2派が対立する事態となった。
その後、2015年1月の取締役会では4対3の評決で久美子氏の社長復帰、勝久氏の社長退任が決議された。さらに3月の株主総会でもプロキシーファイト(委任状争奪戦)が行われた結果、最終的に大塚久美子社長の地位が確定した。
「お家騒動」についての各種報道を振り返ってみると、久美子氏の路線変更を支持するものが多い。米国の投資ファンドをはじめとする主要な株主も「勝久氏の戦略は古く、久美子社長が主張する新しい戦略に転換することで、大塚家具はさらに大きな市場を取り込むことができる」と考えていたようだ。
実際、国内市場では「カジュアル路線」のニトリが急成長している。ニトリの直近の業績は売上高5130億円、純利益600億円で、純利益だけで大塚家具の売上高を上回っている。投資ファンドも「狙うべき市場はそこにある」と考えたのだろう。
久美子社長の戦略はすべて裏目に
しかし、久美子社長のもとで「カジュアル路線」に舵を切った大塚家具は、2期連続となる大幅な減収減益に落ち込んでいる。売り上げ減少の大半は「入りやすくなったはずの店舗」での結果だ。そして決算説明会での資料を見ると、久美子社長の戦略が結果的にすべて裏目に出ていることが開示情報で裏付けられている。