【被災地へ 石油列車】「自分がインフラ支える」感銘受け JR貨物に入社 (1/2ページ)

被災地への石油輸送に強い感銘を受けてJR貨物に入社した市川裕樹さん
被災地への石油輸送に強い感銘を受けてJR貨物に入社した市川裕樹さん【拡大】

 JR貨物の大宮車両所(さいたま市)で機関車の整備に当たる市川裕樹さん(28)は東北大学在学中に東日本大震災に見舞われた。大学では人間工学をベースとして原子力システムの安全性向上などに取り組む国内屈指の研究室に在籍していたが、震災後のモノ不足に苦しんだ経験から畑違いの物流業界に興味を持ったという。とりわけJR貨物による被災地への石油輸送に強い感銘を受け、大学院修了後に同社への就職を希望した。入社試験に合格し、機関車整備の業務について3年目の市川さんは、作業靴とヘルメット姿で油にまみれる毎日にやりがいを感じている。

 市川さんが被災したのは、東北大学工学部の4年に進級する直前だった。2011年3月11日、市川さんは前夜遅くまでアルバイトがあり、起床したのは昼をかなり過ぎていた。下宿先は仙台市にあるマンション7階。遅い昼食を作ろうと立ち上がったとき、激しい揺れに襲われた。立っていられず、その場にへたり込んだ。

 モノの流れに興味

 揺れが収まり、居室から出ようとしたが扉が開かない。台所の冷蔵庫が大きく移動し、ドアをふさいでいたのだ。巡回にきた管理人に救出されたが、閉じ込められた不安は今も消えない。近くの避難所に身を寄せた。中央にともる石油ストーブから伝わる温かさが、緊張していた心を解きほぐす。買い出しにコンビニに向かったが、そこはすでに長蛇の列。おにぎりなど最低限の品物が買えたのは幸運だった。小さなレジ袋を提げて店を出てしばらく歩くと、見知らぬ高齢女性に声をかけられた。「それ、どこで買えましたか?」

石油列車に心動かされ…

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