4月17日まで、JR貨物は磐越西線ルートで2万キロリットル、日本海ルートで3万7000キロリットルの石油を被災地に運んだ。タンクローリー2850台分に相当するという。
石油列車の運行と前後して宮城県の塩釜港や福島県の小名浜港にも大型石油タンカーが入港できるようになり、現地のガソリンスタンドに並ぶ給油待ちの車列は徐々に消えていった。
企業の機材保守限界
東日本大震災の数カ月後、国土交通省内で大災害が起こった際の物流の在り方を検討する会議が開かれた。JR貨物からは異常時対応を指揮した安田晴彦さんが出席し、ディーゼル機関車の有用性を示しつつ、「非常時用の機材を民間企業が保管し、保守し続けるのは限界がある」と訴えた。
石油の列車輸送自体、減少傾向が止まらない。ハイブリッド自動車の普及でガソリンの需要が減ったためとみられる。今回の石油輸送で活躍した機関車や古いタンク貨車は、ほとんどがその役目を終え、解体された。運転士たちも定年が近づいている。南海トラフ地震や首都直下型地震も懸念される中、非常時の物流を誰が支えるのか。議論はまだ、始まったばかりだ。