このセグメントで、プライム(優良客)より信用力で劣位のサブプライム層の買い替え需要が急速に拡大し、新車販売台数を大きくかさ上げしてきた。要するに、米国市場は実力以上に、回復のピッチが速かったのである。
この成長に、中古車価格の高騰が重要な役割を演じたことを認識したい。金融危機は中古車の供給源であるリース販売を縮小させた。供給不足に陥った中古車価格が急騰し、担保価値を引き上げてきた。そこへ、低金利、原油安が続いた結果、維持コストが低下したライトトラック市場の急成長がもたらされた。これが、新車市場成長の好循環を生んだ。
単価の高いライトトラック市場が拡大すれば、平均販売単価は上昇し、これを原資に自動車メーカーはインセンティブを積み上げる。平均販売単価の上昇は、既に高い中古車価格をさらに引き上げる。低金利と高い中古車価格はバーゲンのローンやリース販売を容易にさせる。新車の買いやすさはさらに上昇し、ライトトラックの買い替えが加速化する。こんな循環が目いっぱい効果を生んだのが、この2年の過去最高更新の原動力といえる。この結果、米国新車販売に占めるライトトラック比率は、09年頃の40%強をボトムに、近年は六十数%まで上昇している。