トヨタ自動車が、インターネットに接続してさまざまなサービスを提供する「コネクテッドカー(つながる車)」分野で異業種連携を加速している。23日には、高速通信が可能な第5世代の移動通信システム「5G」の研究でNTTと提携することが判明。自動車の通信機能高度化が急速に進む中、通信やIT大手の知見を取り入れて開発を強化し、激化する競争の勝ち残りを目指す。
トヨタは2020年をめどに日米で販売する全ての乗用車に通信機能を搭載する計画。現在の携帯電話に使われている4Gの車両向け通信網の整備はKDDIと連携して取り組むが、さらに通信速度が高速になる次世代技術の5Gの普及期に備え、KDDIに加えてNTTとも協業する。
トヨタは米IT大手のマイクロソフトともつながる車で提携関係にあり、車から集めた走行に関するビッグデータを解析する合弁会社を米国に設立済み。対応車種も順次、拡大。まず、2月に発売した新型のプラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」で、バッテリーが切れそうな場合にメールで運転者に知らせ、事前に点検を促す新たなサービスを始めた。
つながる車の対応強化の先に見据えるのは自動運転技術。自動運転では、自動車と信号機などのインフラや、自動車同士を通信でつなぎ、互いの位置を把握して事故を防ぐ技術が必要で、通信の高速化が不可欠となるためだ。ライバルも対応を強化。日産自動車はマイクロソフトなどとの提携で技術を磨き、ホンダも米国の拠点などで新サービスの開発を進めている。
民間調査会社の富士経済はネット接続機能を搭載した車は35年に世界の新車販売の9割超になると予測。今後の普及を見据え開発競争が激しさを増している。(今井裕治)