二酸化炭素(CO2)を排出しない究極のエコカーとして期待される燃料電池車(FCV)への関心が盛り上がらず、インフラ整備のペースは鈍化している。自動車メーカーのFCV量産化が進まず、燃料を充填(じゅうてん)する水素ステーションの稼働率は低調だ。このままでは、2020年までに累計4万台程度のFCV、160カ所の水素ステーションという国の目標達成も危うい。
次世代エコカーをめぐっては、3分ほどで水素を満タンにできるFCVは電気自動車(EV)より利便性が高い。普及に向けては、700万円台と高額な車両価格を安く抑えることや、水素ステーションなどインフラ整備が課題だ。
「2020年の東京五輪・パラリンピックは日本の高い環境技術を世界にアピールする良い機会となる」。16日に東京都内で開かれた「イワタニ水素ステーション東京有明」の開所式で、岩谷産業の野村雅男社長は期待感を示した。
岩谷は14年度から商用水素ステーションの整備を進め、東京有明は国内21カ所目だが、16年度の新設は2カ所にとどまり、15年度の16カ所から激減した。 国内で40カ所のステーションを運営するJXエネルギーは15日、横浜市港北区に開所したステーションに同社初となるショールーム「スイソテラス」を併設した。JXも16年度の設置数は減っており、FCVや水素エネルギーに関する理解を高めてもらうのが目的だという。