大手自動車メーカーの2017年春闘交渉が大詰めを迎えている。各労働組合が求める月額3000円のベースアップ(ベア)に対して、経営側は「経済の好循環」実現など社会性の観点から実施に理解を示す一方、要求水準には難色を示す。15日の集中回答日に向け、ベアの妥結水準をめぐる労使の交渉が最終局面に入った。
春闘相場の形成に強い影響力を持つトヨタ自動車は8日、愛知県豊田市の本社で3回目の労使協議会を開いた。これまでの2回の協議で、経営側は「既に賃金水準が高い」として、ベアに慎重姿勢を崩さなかったが、今回の協議では、初めて理解を示した。ただ、水準については「現在の経営環境、競争力を考えると(定期昇給に当たる)賃金制度維持分を上回る賃金引き上げ(ベア)は昨年の水準に遠く及ばない」とし、16年春闘の妥結額である月額1500円を大きく下回るとの見通しを示した。豊田章男社長は協議の中で、ベアの水準を念頭に「悩み抜き、決断する」と述べた。