三枝氏を支え、改革への本気度を示すため、井阪氏は「あっと驚く人」(関係者)を取締役に送り込んだ。自身の側近で、創業者の伊藤雅俊名誉会長の次男順朗氏だ。
順朗氏は昨年12月、HDの取締役常務執行役員に昇格し、グループ改革を担う経営推進室長になった。一方、鈴木氏が後継者にもくろんだとされ、人事抗争の火種になった次男はグループから去った。
セブン&アイは内紛で取締役会が真っ二つに割れた経緯から、昨年5月の井阪体制発足時は人事を最小限にとどめ、社内融和を演出した。
だが新体制は三枝氏が67歳、セブン-イレブン・ジャパンやそごう・西武の社長も井阪氏より年上の60代でフレッシュとは言い難い。別のHD幹部は「経営の人材が育っていない」と嘆く。
事実上「コンビニ1本足」が続くグループ経営を、再び成長軌道に乗せられるか。鈴木氏の影響力排除に時間を割かれてきた井阪氏らは正念場を迎えている。