私が最も驚いたのは、自動運転車の技術の背後にはサンフランシスコや東京といった大都市発の企業があるのに、技術が最初に導入されるのは地方の小規模な町や村落だということである。考えてみれば当たり前のことだ。車の少ない地域の方がより簡単な技術で運行でき、何よりも導入されたときに人々に提供される価値が高い。特に、すでに利便性の高い公共交通網が整備されている日本の大都市よりも、高齢化の進む地方では導入の意義が大きい。
開発が始まった当初から、近未来的なロボットのイメージがあった自動運転車だが、今後10年間の動向に目をこらしていれば、良い意味で地味で非常に実用的な交通手段として認識されるようになってくるだろう。
文:ティム・ロメロ
訳:堀まどか
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【プロフィル】ティム・ロメロ
米国出身。東京に拠点を置き、起業家として活躍。20年以上前に来日し、以来複数の会社を立ち上げ、売却。“Disrupting Japan”(日本をディスラプトする)と題するポッドキャストを主催するほか、起業家のメンター及び投資家としても日本のスタートアップコミュニティーに深く関与する。公式ホームページ=http://www.t3.org、ポッドキャスト=http://www.disruptingjapan.com/